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開発秘話

開発秘話 新入社員のアイデアから湖池屋の新機軸へ。「濃いじゃが」がポテトチップスの常識を変えるかもしれない理由

 

2022年10月に関東エリア限定で発売されていた「濃いじゃが アンチョビオリーブ」は、売れ行き好評につき2023年4月から全国発売されることになった。

細切りの国産じゃがいもをぎっしり何層にも重ねた"多層食感"、そしてじゃがいもの旨味、アンチョビオリーブの濃厚ソースの味がしっかり感じられる"高密度"な味わいが特長で、湖池屋ポテトチップスラインナップの新機軸になり得る可能性を秘めており、販売に力を入れている。

 

プロジェクトを推進し、「今までにないものが作れている」と胸を張るマーケティング担当の野村と開発担当の小芝に、新入社員によるアイデア発案から実売までに至った約2年半の、「濃いじゃが」が辿った軌跡と今後の展望を聞いた。

 

(「濃いじゃが」を担当する(左)マーケティング部の野村と(右)商品開発部の小芝)

 

アイデアプレゼン「スナック100」から誕生したアイデア

 

2016年に「高付加価値経営」を打ち出して以降、話題性のあるさまざまな商品開発やリニューアルを行い、スナック菓子業界で独自のブランド力を高めてきた湖池屋。

その企画を担うマーケティング本部には、新卒・中途問わず、配属されたばかりの社員たちが各々に100種類のお菓子を食べ、そこで得た知見を元に新商品アイデアを提案する、「スナック100」というプレゼン機会がある。本部会で年に数回、毎回数人が発表を行い、販売見込みのある優れたアイデアはプロジェクト化されていくという。

 

今回全国販売が決まった「濃いじゃが」も、元々は2020年7月、その年に入社した新入社員のアイデアから誕生した。プレゼン結果を受け、湖池屋社内では早速プロジェクトチームが発足。そして1年4か月後の2021年11月、当初は「JAGALET(ジャガレット)」という名前でテスト販売が行われ、その後、「濃いじゃが」として装い新たにリニューアルし、今に至っている。

「その社員が提案したアイデアは、イスラエルの伝統料理であるラケトスという、細切りにしたじゃがいもをパンケーキ状にした料理をヒントにしたものでした。実は『JAGALET』よりも以前、弊社には『ハッシュドポテト』という、細切りのじゃがいもを使った別の商品があったので、この『JAGALET』はその経験も踏まえ、試行錯誤しながら作り上げていきました」(開発担当・小芝)。

 

「濃いじゃが」の前身「JAGALET」の開発ストーリー

 
 

(「濃いじゃが」の前身である「JAGALET(ジャガレット)」)

 

湖池屋では当時すでに、「スティックポテト」や「スティックカラムーチョ」など細切りじゃがいもを使った商品がいくつかあった。そこで、他と被らない新しい味を生み出すため、じゃがいもの細さや形状、原料について多くの検証を行った。

 

そうして試作を繰り返す中で、じゃがいもを従来の半分以下の細さにカットして揚げ、さらにそれを何層も重ねて平たく丸い形状に成形、オーブンにかけて仕上げてみた。すると、今までにないおもしろい食感と手に取りやすさ、さらには味わいへの好影響も生まれた。

「通常ポテトチップスはシーズニングと呼ばれる粉末で味付けするのですが、細いじゃがいもを何層も重ねて質量のあるものにすることで、液体調味料を使うことが選択肢として浮上したんです。基本的に、『カリッ』『サクッ』とした食感が命のポテトチップスにとって、水分というのは"敵"。しかし、液体調味料を使うことで、後からにじみ出てくる旨味をよりよく表現できたんです。そして、この製法は商品にとって非常にユニークかつ大きな強みになりました」(小芝)。

 

味付けについては、いくつかの候補の中から、最もしっかりした旨味と風味が感じられたアンチョビオリーブを選び、新商品「JAGALET」と名付けて販売を開始した。

 

味は良かったが、親近感には課題が残った

 

一方マーケティング担当の野村にとっては、この新しいタイプのポテトチップスについて、いかに消費者に喫食(きっしょく)シーンのイメージを持ってもらうかが課題だった。

「『ハッシュドポテト』の発売時、その形状はユニークではあったのですが、味わいとしては素材の味をシンプルに生かす打ち出し方をしていました。しかし、お客様がこれを選ぶ理由、またはこれを食べるシーンをうまく訴求できない部分がありました」(野村)。

 

そうした反省を踏まえ、「JAGALET」では、1枚でしっかりとした満足感が得られる食べ応えや、今までにない食感が味わえる点をアピール。またパッケージにはおしゃれで先進的、本格的なイメージを打ち出すことにした。

 

「JAGALET」販売に一定の手ごたえはあった。こだわりの"多層食感"、アンチョビオリーブの味の深さ、オイルの染み込んだ濃厚な味わいに対し、高い評価を得ることができたのだ。

しかし一方で、"ポテトチップスらしからぬ"おしゃれな雰囲気に、購入者は限定的になりがちで、「味わいの完成度を伝えつつ、いかに親近感を持ってもらえるか」という点には課題が残ったという。

 

「濃いじゃが」として生まれ変わり、消費者との距離が縮まった

 

("多層食感"と"高密度"な味わいが特長の「濃いじゃが」)

 

こで、味わいと食感は「JAGALET」そのままに、より商品の特長が伝わり、かつ身近に感じてもらうため、名称を「濃いじゃが」に変更。

また、「これまでのポテトチップスの延長線上にあるが、従来とは少し違うポテトチップス」であることを訴求するため、"高密度ポテトチップス"というショルダーコピーも添えた。より手に取りやすく、より買ってもらいやすくするために、と思案した先の結論だった。

 

そうして2022年10月、「濃いじゃが」が関東エリア限定で発売されると、たちまち若年層を中心に商品の魅力がわかりやすく伝わり、その濃厚な味わいの支持を得ることに成功。また、職場での間食やブレイクタイムの小腹満たしの他、お酒のお供としても好評を得られたという。野村はその時の現場の反応についてこう話す。

「味わいについては、『JAGALET』の頃と変わらず、同じように高い評価をいただけました。それに加え、『濃いじゃが』として生まれ変わったことにより、スナック菓子を買われるお客様に身近に感じてもらえるようになり、お客様と商品の"距離"が近くなったと思います。実際、バイヤーさんからは『お客様に提案しやすい商品になった』というお声をもらっています」。

 

また、消費者に受け入れられた背景には、ポテトチップスとしては珍しい「個包装」を採用したことも大きく作用したという。

 

(ポテトチップスとしては珍しく個包装になっている)

 

「この個包装もバイヤーさんから好評です。近年、1日3食といった従来の食スタイルだけではなく、『6食食べる』『間食が食事に置き換わっている』など、食事と間食の境界線があいまいになっている食習慣が若者を中心に進行しています。そのため、食べ応えがあってひとつふたつで満足感を得られ、かつ個包装になっている『濃いじゃが』は、そのニーズにぴったり。またコロナ禍以降、『手を汚さないで食べられる』『一人分に分けられている』ことに対するニーズも高まっており、個包装はそのニーズにも応えられていると思います」(野村)。

 

ポテトチップス業界に新しい需要を喚起したい

 

今回の全国販売に向けて、基本的に中身の味わいや名称に大きな変更点はない。しかし、より多くの人に「濃いじゃが」を手に持ってもらう新たな仕掛けを施したという。それは、袋の「向き」だ。

「ポテトチップスの袋は通常、縦長のものが多いですよね。しかし今回の全国販売にあたって、横長に変更します。これは、『陳列棚に並ぶ他のポテトチップスとはちょっと違うんだ』ということを見た目でちゃんと伝え、差別化を図りたいからです」(野村)。

 

(左がリニューアル前、右がリニューアル後のパッケージ。横長仕様になっている)

 

また、気になるフレーバーのバリエーションについては、まずはアンチョビオリーブ一本で勝負をするところから始め、今後の売れ行き次第では別のフレーバー投入も考えているという。

「一般的なポテトチップスではなかなか表現できない、『濃いじゃが』ならではの複雑かつ濃厚な味わいに適したフレーバーを今後は展開していきたいです」(小芝)。

 

「濃いじゃが」が狙っている未来は、そのユニークな形状と製法、そして味わいの深さを武器に、今までのポテトチップスにはなかった新たな需要を喚起すること。また併せて、ポテトチップスという菓子ジャンル自体の可能性も広げていくこと。新入社員のアイデア発案から約2年半でしっかり市場ニーズと消費者の心をつかみ、全国販売を実現した「濃いじゃが」の今後の展開に注目だ。

 

 

濃いじゃが アンチョビオリーブ
「濃いじゃが」は、カラッと揚げた細切りのじゃがいもをアンチョビオリーブの濃厚ソースと一緒に絡め、ぎっしりと丸い1枚に整えた"高密度ポテトチップス"です。スナック菓子では珍しい1枚ずつの個包装タイプとなっており、数回での食べ分けが可能です。友人や家族とのシェアや、職場での間食など持ち運びにも便利で、直接スナックに手を触れずに食べられるので、衛生面でも安心な商品となっています。
商品名/内容量:濃いじゃが アンチョビオリーブ/35g
価格:オープン価格
発売日/販売先:2023年4月3日(月)/全国・コンビニエンスストア、同4月10日(月)/全国・全チャネル
 
成果の裏側にあるストーリーをメディアに届ける【PRTIMES STORY】より

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